ビデオ判定問題

Tommy-Caさんを受けて、プロ野球で今年特に騒がれている審判の誤審問題、そしてそれに続くビデオ判定の導入等々について考えてみたいと思います。


まず、何故これだけ誤審が増えているかですが、一つには「誤審が増えている」じゃなくて、「誤審が明らかになるケースが増えている」という実態がある事は間違いないでしょう。


CSやブロードバンドの普及によってすべての試合が中継される事になったという事実がまず一つ。そしてそれとあわせて、テレビ局の番組中にリプレイするといった技術が向上、スムーズに行われるようになり、今までだとわからなかったような動体視力が要求されるようなケースまでリプレイされる事で、誤審が白日の下に晒されるようになったというのが誤審増加の正体の一つでしょう。


もちろん審判の技術低下といった問題は大きな理由の一つでしょうが、上記の点から見ると、実はビデオ判定というのは非常に危ない問題を含んでいます。


つまり、ビデオ判定をするなら、現状では「中継しているテレビ局からVTRを提供してもらう」しか方法がないわけです。そうなると中継局の負担が増加するわけで、それ相応の対価を払うなり、保証が必要になってくるでしょう。
もちろん、審判及びプロ野球の権威を守るためにはそれだけの対価を払う価値はあるというか、しなければならないとも言えますが、問題は第三者頼みであるシステムでどこまで公平性が保てるかということ。


全国ネットならまだ大丈夫でしょうが、地方局では明らかな地元チーム贔屓のスタンスを取った中継が多々ある、というよりそれが当たり前です。最近はブロードバンドの発達で、特定チームがネット中継をしている例も増えてきています。もちろん、地域密着という観点からも節度さえ保てばそれは悪い事だとは思いませんが、そのような土壌を考えると、判定、しかもスピードが要求されるケースにおいて、必ず中継局が協力してくれるかといえば疑問符をつけざるをえません。


極端なたとえを言えば、ビデオ判定によって不利な結果が出るとわかったとき、その中継をしているローカル局が素直にVTRをリプレイしてくれるだろうか、いや、テレビ局自身は協力しようと思っても、ファンがあとから局に苦情や脅迫をしてくるケースも考えられ、それを恐れるが故に萎縮して協力を断る、というケースも考えられるわけです。


そんなわけで、試合中のリプレイによるビデオ判定というシステムについては足踏みをする気持ちもわからないでもないし、僕自身も諸手をあげて賛成とは言いかねます。


んで、それを念頭に置いてですが、もう一つ考えなければならない問題があります。


今年の誤審とされる騒ぎの中でも有名なのが6月11日の千葉マリンスタジアムでのロッテvs巨人戦での小関の三塁ベース踏み忘れです。
これについて、巨人はフジテレビの中継していたVTRを持ち出して踏んでいたと主張していますが、正直なところ、僕自身はあのVTRを見ても踏んだか踏んでないかよくわかりませんでした。その点はビデオ判定の限界とも言えますが、問題はその判定をした三塁塁審の西本です。


6月23日の甲子園での阪神vsヤクルト戦、ヤクルトの攻撃で1アウト満塁からファーストゴロホームゲッツー、ところがキャッチャー矢野からファーストベースカバーに入ったセカンド藤本のキャッチがバッター大原より遅いと判定され、セーフになってしまいました。
結局そのあとタイムリーを打たれ、そのジャッジが阪神にとって致命傷になったわけですが、VTRどころか静止画像でも明らかに藤本の足の方が早く、誤審としか言いようがない判定でした。


まあこれは中継していたカメラの角度が良かったからと言えるのですが、このときの一塁塁審が先の西本。


で、この西本審判、この試合のあと、しばらく審判業務をしていないんですよ。


現在は一軍の試合にも復帰していますが、この6/23以降、二軍の審判をすることが増えており、つまり、誤審による懲罰を食らったor技術不足と認定されたと推測されるんですよね。


その誤審というのが、ロッテ巨人戦を含めての事なのか、阪神ヤクルト戦のみで判断されたのかはわかりませんが、とにかくホームゲッツーをセーフとした判定が引き金になってペナルティを受けたと見て間違いないでしょう。


問題はその事実が内々に処理されたのみで公表されておらず、審判名まで気にするコアなファン以外は気づいていない、知らされていないという事です。


それはやはり公式には誤審の存在を認めない審判団及びNPBの判断からでしょう。


でもね、やっぱりそれって間違ってますよね。間違いを間違いと認める事こそが審判とプロ野球の権威を守る事につながると思うんですけどねえ。


ということで、以上の事をふまえての私案を。


まず、試合中のビデオ判定は導入しない。試合中において、審判の判定は絶対であり、それによって生じた試合結果についても変更・修正はあり得ない。
ただし試合後、チームから判定についての不服異議申し立てがなされた場合、審判団及びNPBは中継局から当該試合のVTRを提供してもらわなければならない。
その上で、定期的(例えば一ヶ月に一度)に問題事案について第三者を交えて公開で聴聞会を行い、問題の判定は正しかったのか間違っていたのか、もし間違っていたのならば何故そのような問題が起きたのか(例えば審判の立ち位置の問題など)を明らかにし、再び同様のケースが起こった時にどうすれば同じ問題が起きないか、検討・報告を行う。
これによって誤審を行ったとされる審判についてはなんらかのペナルティもしくは再教育を義務づけ、その事を報告する。


現状、審判団はそのような事をすれば審判の権威が傷つくと主張するでしょうが、厳しい評価に晒される事こそが、逆に審判の権威を守る事になるんですよね。


ってことで、Tommyさんと似ているところもあり、違うところもありの僕なりの考えでしたw